でもライオンが見れたからいいじゃん
8月31日
晩夏の出来事である。ライオンキングを見てきたのだ。
すごく暑かった。まったく、もう少し晩夏らしくしてほしい。
ライオンキングを見てきたなんて言うと、「いい大人がディズニーみてんじゃねぇよ。」とか思う民衆もいるだろう。
僕だって遠いアフリカの話はさっぱりである。
自分のことで精いっぱいなのにライオンがどうだとか、命の循環がどうだとかは知ったことではないのだ。
ーライオンキングは目的ではなく手段である。
ようするに、はるか氏という娘に会いたいがための口実である。
その甲斐あってか、はるか氏とのライオンキング鑑賞会が実現した。
ネコ科には優しくする。一周回ってネコ派の人間にも優しくする。
ということで、ライオンがネコ科だったかうろ覚えではあるが、
なんとか映画にこぎつけたのである。いやぁー映画っていいものですね。
【スペック】
はるか氏:30歳、大天使、優しい、足腰の強さに自信があるらしい
僕:罪状を持たない犯罪者
まあ上述の通り同じようなスペックである。
印象としては、「ヤサシソウダァ・・・」とか心のなかで言ってたし、前回遊んだ時もその愛おしさのあまりに、「ヤサシソウダァ・・・」と普通に声に出していたと思う。
この文章を書いているときも、そう・・・・
【当日】
待ちあわせ当日。
すこしでも映画ガチ勢を演出するため、当日は早めに行って予約したチケットを速攻で印刷する。僕レベルアップである。
ボクは事前チケット予約を覚えたのだ。(普通は中学生で覚えるよ!)
当初の予定では、若干早目に集まってカフェーでお話ししようという予定であったのだが、カフェーが混雑している、開演まで15分前だからという二点から、映画館の前で話をする、という中学生のカップルみたいなことをして時間を潰す。その件に関しては普通にごめんなさいなのだ。
【映画】
映画館に入る。
指定した席に座りしばらく談笑していると、知らないおじさんが僕に、「その席は~」みたいなことを言ってきた。
その瞬間、「これはこいつを倒せば好感度が上がるやつだ。」みたいなゲーム脳全開で戦闘態勢(死の盆踊りの態勢)も、どうやら確実に僕が席を間違えただけであり、この世に悪はいないということを再認識できた。この件に関してもだいぶごめんなさいである。もちろん真顔でみんなに謝った。
映画が上映する前、渡辺謙がぴょんぴょん跳ねてるCMがやってた。
こっちはもう笑いをこらえるのに必死である。大体スキンヘッドの渡辺謙がステージを広く使って跳ねてはいけない。いけないのだ・・・
映画が上映中はもちろんだんまりである。
2時間座りっぱなしは腰の位置がしっくりこないからちょこちょこ動いていた。
一時間半無音で腰を動かしつづけるという、「嫌っ、隣に旦那が寝てるのに・・・」みたいなアウトローな一面を演出できたと思う。
のちにはるか氏に、「ちょこちょこ動いてごめんね」と言ってみたら、「嫌、別に・・・」という完璧すぎる回答が得られた。
【上映終了後】
映画の感想としては、「なんか面白かった。」この一言に尽きる。
このなんか面白かった映画をはるか氏とどう盛り上げるか、どのように展開していくか、この二つが非常に重要なのだと思う。
ということで、映画の感想もそこそこに、一方的に「ケン・ワタナベの感想」を語り始めてしまった。これに関しても大きなごめんである。ポカンとしてた。
その後は、どこかでごはんを食べようかという話になり、ベンチで座りながら話をしていると、となりにめちゃくちゃ独特なにおいのする家を持たないおばさんが座り込んできて、歩きながら決めることになった。
大体ライオンキングの野生動物でも家とか縄張りを持っているのに、エコノミックアニマルである日本人が、都内のしかも結構な地価の場所を歩き回るとは何事であろうか。
神が僕に試練をあたえているとしか思えない。というか僕と映画に行くはるか氏に試練をあたえているとしか思えないのである。
この世に悪はいないと言ったが、あれは嘘だ。人間の本質は悪である。
【夕食】
その後は夕食を食べるも、全然会話がはずまない。
映画の話をしても、「あなたは何を言っているの・・・」と一蹴されてしまうのだ。
そんなにはズレたことは言っていないと思うのだが、はるか氏が言うのならおかしいのだろう。というかなんかもう、この時点でいろいろと無理だろう。
「ゴリラってプロテイン飲んでないのによくあんなに強くなれるよね」みたいな意味不明なことを口走ってしまったのがダメ押しだったのか。なんか露骨につまらなそうにしていた。ライオンキングにゴリラが出ていたら結果は変わったのだろうが・・・
夕食時は基本的に、疲労感が溜まって無口になるわ、口を開けば見当違いなことを言うわ、でどうしようもないのである。
20点くらいとられているのにコールド負けを許してもらえないくらい帰りたかった。
もう早く逃げ帰ってしまいたいのだ。映画なんてもうこりごりだ。
僕はやはりまごうことなく犬派なのである。ビーグルが好きなのである。
本来なら駅まで一緒に帰る算段であるが、
もうなんか悔しすぎて、「オレ、別の駅だからっ」と言って食事後にすぐに別れた。
なんでかっこつけたのかは謎であり、別にかっこよくないのも同様に謎である。
反省点はたくさんあり、正直はるか氏でなくとも普通に嫌われるだろう。
もう完全に気分が落ち込んでおり、もうこの世にいいことなどただの一つもない気分である。この文章を書いているとも死にそうな顔だし、失恋とはかくも恐ろしいものであるのかと感じている。
もう本当に心を折られたのである。・・・要するに仕事したくないのだ。
働きたくないのである。なぜかライオンキングを見て働きたくないという気持ちが強くなった。
【けっか】
人間の本質は悪であり、僕は働きたくない。