さばのぬいぐるみの魅せる日記

サラリーマンのビタミンC的なブログだよ!抱きしめてくれ

ある男の軌跡⑤ ~終幕~

【前回のあらすじ】

街コンで会ったゆうなさんと中華街に行くことになった。

1回目は食事、二回目は水族館と順調にルートをたどっていくも、恋愛感情が芽生えているのだろうか。甚だ疑問である。

さて、3回目のデートの行方は・・・レボリューション!!!

  

10/27、ゆうなさんとはお昼からみなとみらいで遊ぶ約束をしていたのだ。

実はこの日、ひそかに思いの丈を伝えようと計画していた。

 

しかし、当日の5日前頃、実験が入ってしまったので18時からになってしまうとの連絡が入る。この世から実験がなくなればいいと思った。そしてブラックでんじろう先生が性犯罪で捕まればいいと思った。

 

ということで、10/27は中華街で夜ごはんを食べることになった。

中華街の食事デートで、どうやって告白するのかという不安はあったが、キメキメで行くのは自分らしくないのでその場で考えることにした。

というかどうしていいのかわからなかったからです(威圧)

 

【当日】

 

待ち合わせ時間の少し前に到着した彼女は、スタッツ(?)が入った帽子をかぶっており、さながらファッションリーダーであった。

一方サブリーダーの僕はよれよれのパーカーで挑む。逆に男らしい。

スタッツのことを鋲(びょう)と呼んでいたのを馬鹿にされたのは今でも不本意である。

 

最初の5分は例のごとく緊張してしまったが、その後はいい感じに会話も弾みリラックスモードに入れた。5個下の女の子相手に緊張する辺りが器の大きさを感じさせる。

 

中華街では、どの店にするかを決めるのに迷い、お互いに全部同じ店に見えるという結論に達したので営業熱心な丸顔の客引きがいる店に入った。

この時、「丸顔が三人そろったね」って言おうと思ったが、客引きをボクとゆうなさんの仲に入れたくなかったので言うのをやめた。

これも器の大きさをうかがわせる。

 

お店は食べ放題のシステムで、なんだかいろいろ注文してボクがたくさん食べるという悲しすぎる流れが出来上がる。あんまりおいしくなかったのも今となってはいい思い出である。多分もう行かない。

 

会話に関して言及すると、前回できなかった恋愛話にも踏み込めた。

自然な流れでうまいことできたので非常に好評価である。

なぜ出会い系ではスムーズにできるのに、好きになるとこうもうまく言えないのだろうか。下手な童貞より童貞である。

 

★自然流れでの恋愛話★

 

ぼく「どんな人が好きなの」

ゆうな「うーん、むずかしいなあ」

ぼく「じゃあ昔付き合ってた人はどんなひと」

 

みたいな感じでスムーズにいけた。

 

会話の流れでお互いの恋愛遍歴も軽く話せた。

その際、そういう話にいきなりぶち込むのではなく、※きょうことの食事で恋愛の話になったと話すことでスムーズに移行できた。

有難うきょうこ。7,000円も食いやがって。高すぎる出費に感謝である。

※浅ましく粗暴な人間

 

ということで、18時20分くらいから20時半くらいまで2時間ほど食事を楽しみ、店員が僕らに帰ってほしいという顔をしていたので解散した。

 

店を出た後、ゆうなさんが「散歩しませんか」と言い出した。

「おっ、ツイてる」と思った。

告白チャンスが出来るかもしれないのだ。

「向こうも期待してるんとちゃうの?」とさえ思った。

 

ゆうなさんはちょうど山下公園の方に歩き出したので、どちらともなく山下公園を通ることになった。

正直、これイケるだろと確信に変わった。

 

―ここで決めるしかないのだ。

 

 山下公園には氷川丸という名の大きな船があって、それを見た瞬間、お互いにその感想を同時に発した。(なんていったのか忘れたけど)

「あ、これいけるな・・・」と心臓が高鳴った。

 同じタイミングで同じことを考える、これは気が合う証拠である。そうに決まってる。

 

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僕らを見守ってくれてるねb

 

ゆうなさんが船の写真を撮り終わり、外国人がラッパ的なやつを吹き終わり、ほどよい静寂が流れた。

わざとらしいくらいのチャンスに乗じて、「ごめん、一つ言ってもいい」と声をかける。

相手は「なに?」と振り向いたが、少し間をおいて「なんでもない」と言ってしまう。

俺はこんなに憶病なのかと絶望した。

空港の麻薬捜査犬にお菓子をあげようとしたあのころの俺はいないのだ。

 

少し歩いて海を眺めると、それにつられて相手も海を眺め始めた。

二人とも手すりにつかまり、身を乗り出しながら海を眺めている。

二人とも海を見ているので目を合わせる必要がない状況である。

 

「付き合ってほしいです。」

「今ですか」

 

なんか笑ってた。

色々と悟った。

 

「―ちょっとあそこに座りませんか」

 

この展開は悲しくなるやつだ。これも悟った。

氷川丸がその様子をじっと見ていると思うと、情けなくなった。

 

ゆうなさんから聞いたことをざらっとまとめると、

・好きな先輩がいる

・その人には彼女がいる

・その人を忘れるために街コンに行った

・僕のことは好きではあるが(マジだよ)、どうしても妥協して付き合うことになる

・以前も妥協して付き合ったことあるけど、辛い思いをして二週間で別れた

 

結論、余裕でフラれた・・・

俺は妥協すらしてもらえないのだ。

 

どうやらゆうなさんは、研究室の先輩が好きだった。

その思いを忘れたい、そのために街コンに参加した。

そしてその場で出会ったちょうどいいモンキー(僕)とデートを重ねるも、

先輩への思いは募るばかり・・・

 

要するに俺は先輩への生贄にささげられたのだ。

つーかそもそも先輩とか言ってるけど俺の方が年上だからな。

他のすべてでは負けてても年齢では勝てるんだぞ。

若干早く世に出てきたからな。

ちくせう!!!!!!!!!!

 

ふぅ、もうこの件はこれ以上言わない。そんで考えない。

考えても無駄だし、なんだか面倒なのだ。

 

と、まあ上記の旨を泣きながら語ってくれた。

普段の俺なら「なんやこいつ」と思うところであるが、惚れた弱みである。

感傷的な雰囲気をどうにか変えたいと思い、「山下公園、今いいところだから園内アナウンス辞めてくれない」みたいな悲壮感あふるるツッコミをした。

 

ものすごく情けない。この場において俺より情けない人間はいなかったと思う。

相手に気を遣って気にしてないアピールをするのが限界だった。

そしてゆうなさんもそれに気が付いていたのでより情けなかった。

氷川丸も僕を見下していたと思う。

 

このシリアスでロマンチックな雰囲気に、「いつもとは全然違うね」と言われたときはさすがに、「こいつぶん殴ったろうかな」という気持ちになった。

しかしゆうなさんは目に涙を溜めていたので、バイオレンスな展開には持っていけなかった。というかその時は、「俺の方が泣きたいんだよなぁ」とだいぶ冷静だったと思う。

正直言って、好きな人にフラれることよりも、好きな人が悲しんでいる姿の方が辛かったのだ。

・・・などと考えて、「俺結構かっこいいこと考えるようになったな」とか変なテンションだった。

 

―だいたいそんな感じである。

 

その後、ゆうなさんは泣きながら「今までで一番男らしくてかっこよかったよ」と俺に伝えてきた。

殺される寸前に、「俺をここまで追い込んだのはお前がはじめてだ」的なことを言われてる気分を味わった。

嘘です、普通に悲しかった。

いい思い出になってしまうからそういうことを言わないでほしい。

優しさとは時に残酷なものである。人は愛ゆえに悲しみ、涙するのだ。

せめてこめかみに合わせた的確なフックでもしてくれたら気が楽なのに。

 

30分ほどベンチで座ってたので、人体に影響が出るほど体は冷え込んでいた。

結果は変わらないことを知っているからか、このまま一緒にいるのはお互いによくないことを知っているからか、どちらともなく、「歩こうか」と言って歩き出した。

そんな部分も気が合うのが悔しい。

 

ゆうなさんがトイレに行きたいとか言ってたので、「泣いてるのかな」とか思ってたら、思ったより時間をかけて出てきたので、もしかしたら用を足していたのかもしれない。そんなことを思っていました。(フジファブリック風)

 

ここから横浜駅まで30分ほど歩くことになるので、気まずい思いとか罪悪感を感じさせてはならないと思って、「ここで告ってたら実はイケてたべ?」みたいな地獄のようなギャグをしながら二人で帰った。

相手はどんな気持ちだったんだろうな。

 

お互いに、二人で一緒に入れてこんなに楽しいことはないという話をして、あえて青信号を渡らないで待ったりした。そんな感じでゆっくり帰る僕は、なんだかものすごくみじめで、安いドラマみたいだな、とか思ったりもした。

 

帰り道は先輩のこと、これから1年半先輩と同じ研究室ということ、自分の身勝手な気まぐれで俺に迷惑をかけたこと等、色々話てくれて勝手にすっきりされた。

 

別れ際、ゆうなさんが駅の改札を出たあとも、ずっと後姿を見てたらゆうなさんもこっちを振り返って笑顔で手を振ってくれた。

 

こんなもんもう好きになるだろうが・・・・

 

まあこの件で感じたことは、

冷徹人間と呼ばれた僕にも赤い血が通っていることが判明したし、俺意外といいやつだな、ってちょっと自分が好きになれた。

結局自分本位な感想ではあるが、俺は確実にいい男になったのだ。

シャンクスも男はそうやって強くなるって言ってたのだ。

 

今後、ゆうなさんとは会うことはないだろうけど、僕は彼女の幸せを応援するのだ。

そして先輩には不慮の事故にあって非業の死を遂げてほしい。

欲を言えば病気の野良犬に食べられて欲しい。しかも若干残してほしい。

 

結果

先輩にはかてないよぉ~

 

 

後日

10/28、フラれた次の日の出来事である。

会社の人が何かを察したのか、俺を飲みに連れてってくれた。

優しさが逆に辛い。そんな27歳の秋の出来事である。

 

僕の今後

・俺がフラれようがどうなろうが日々は動いているし雲も流れている

・悲しい気持ちはあるだろうけど、男の子は立ち上がらねばならない

エネルギー保存の法則により、この失恋エネルギーを何に代わるのか楽しみである

・失恋は人を成長させるのだ(シャンクスが俺のこといい男になったって言ってたよな)

おれ、ちょっとかっこいいのである

 

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シャンクスいなかったら自害してるかも☆