ある男の軌跡外伝 ~謀略編~
<前回のあらすじ>
街コンで会ったゆうなさんともんじゃ焼きに行き、楽しい雰囲気で終えることができた。
しかし、次の約束を取り付けるのをすっかり忘れていたため、どう誘うかを攻めあぐねているのである。ふつうにばかである。
そんな時、一つひらめいたのだ。
ただ一人、俺には女友達がいたのだ。
ゆうなさんより1歳上の娘である。たった一人の女友達として俺のもとに存在している。
名前はきょうこ。もう本当にこいつはいろいろとダメなやつである。
ひらめいてからは早かった。
ぼく「きょうこー!相談乗れよー!若い子をデートに誘いたいんだよー」」
きょうこ「まかせなさい!!」
ということで、きょうこの作戦は、おごりということを意識させ、かつ軽い感じで誘うのがいいとの事であった。
結果、デートにこぎつけることに成功する。
正直、きょうこの返信が遅すぎたので普通に自力で誘って自力でこぎつけた。
きょうこは何もしていないのだ。
そもそもこいつはマルチにひっかかりそうになったほどのアホ女である。
こいつにできることで俺にできないことはそうないだろう。
しかし、テンションの上がった俺は、きょうこに対し、「おごるから飯でもいこーぜー」みたいなことを言ってしまったのだ。
まあ確かに行けば楽しいだろうし、年の近いゆうなさんに対してのアドバイスをくれるだろうので、行く価値はあると踏んでいるのだ。
・・・と、思うしかないのだ。
一方きょうこはというと、おごりになった瞬間に返信がめちゃくちゃ早くなって正直くたばってほしいのだ。こいつマジなんなん。
約束をしてしまった手前、ドタキャンは俺の意思に反するので、食事の中で抜け出し、康太とカラオケに行く約束を取り付ける。
具体的には、19時半頃に仕事関係の電話を装った康太から電話がかかり、その電話のせいで20時には解散しないといけない、という流れである。
もちろんきょうこにも仕事の関係で20時頃に解散になる可能性が高いという旨を伝えているので、この作戦は滞りなく遂行される手筈なのだ。
【食事当日】
18時に池袋で待ち合わせである。
普通に10分くらい遅刻したけど、池袋駅がわかりにくいことのせいにして謝らないことに成功する。
なぜかきょうこ相手に最初の5分間は緊張するという、恥にも近い身体反応が出た。
なぜか汗だくで池袋駅を練り歩くハメになった。なぜか膝が汗だくだった。
【店内】
18時20分、お店は居酒屋である。
やはりきょうこ遠慮がない。ガンガンメニューを頼む。
俺はほっけ以外は何も頼みたくなかったのであるが、きょうこに押されて10品程度頼む羽目になった。
会話は俺の話かと思いきや、きょうこの転職相談である。
なぜかきょうこの相談に俺が乗る流れになった。
そもそも俺は転職したことないし、相談ごとの類は苦手である。
本当にふざけないでほしい。曇りなき眼でふざけないでほしいと思った。
約1時間半耐え忍ぶことにより、康太からの電話イベントが出現、きょうこに8時解散の旨を伝えることにも成功した。
しかしここからが悪夢であった。
8時解散のはずが、なぜかあいつマシンガントークにより8時49分にまでなる。
しかも会計は7,000円である。ほぼ一人で7,000円分も食べないでほしい。
僕はほんとに1,500円くらいしか食べてない、ゆうなさんですら二人で3,000円くらいだぞ。
ということで、地獄のような時間を過ごし、カラオケに向かうことになった。
そして次回のデートは自力で行けということなのだろうか。
何のアドバイスもないまま水族館に向かうことになる。
一応次回の目標は下記の通りである。
陰キャ童貞には高いハードルである。
【次回の目標】
①手をつなぐ
②呼び捨て
③昔の彼氏の話をする
④前回無理やり気味に解散したことを謝る